猫ヤナギ芽ぶく(続 からくりからくさ)@連載中

2024年3月27日

小説

ねこやなぎめぶく



「波」新潮社
2022年4月号~連載(隔月―偶数月号)
🆙第13回 2024年4月号


ミケルのフィンランド滞在記

四人での共同生活から二十五年…。紀久はミケルを養女にして、東北のある美術系大学の准教授として赴任していた。ミケルは実母のマーガレット、紀久、与希子、蓉子たち四人に育てられた。大学では社会福祉学を専攻し、研修で北欧フィンランドに行っている。与希子もフィンランドでテキスタイルの仕事をしているので、ミケルの週末家族になっている。

💬物語の舞台が北欧フィンランドなのは「この庭に」の雪の情景を思い起こさせます。


トウヒの木@「写真AC」


👩ミケルから見た四人
与希子さんは楽しいひとだった、昔から。
蓉子さんといると落ち着く、どんなときでも。
マーガレットはいつも重さを深みに変えようとして必死になっている。だから、あまり邪魔したらいけない気がしてた。
紀久さんはね、いつも、自分が帰っていくところ、って感じで。



セイヨウイラクサ(ネトル)@「写真AC」


👩主な登場人物
ミケル、与希子、紀久


📝あらすじ(メモ)
🔽東北(1~3、6、9)
紀久は仕事の傍らでグループホームの「傾聴」ボランティアをしていて、滝子の話を聞く。「傾聴」とは、相手の話すことに積極的な関心を持って耳を傾けること。滝子の母親の話を詳しく聞くために姉の八千代を訪ねた。
紀久は母校の大学から教授ポストを打診されており、引き受けるつもりでいる。同じ宿舎に住む多美子には出ていく可能性を打ち明けた。

🔽フィンランド(4~13)
ミケルは研修先のフィンランドへ渡り、タンペレに住む与希子のもとを訪ねる。週日はヘルシンキの下宿で生活する予定になっていて、下宿先である与希子の同僚トッピの伯母リッリを紹介される。リッリは認知症が懸念されていた。
ミケルの研修が始まる。リッリは週2日デイケアに通うようになり、朝の起床に難儀していた。
ミケルは訪問ホームサービスでレオという一人暮らしの老人の家に同行する。イラクサから繊維を取り、梳いて、紡いで、糸を作りたいという訴えを聞いて、与希子に相談すると、昔読んだアンデルセンの童話『野のハクチョウ』の話をされる。
レオの希望を叶えるには島からイラクサを運ぶ問題があったが、与希子からとある解決策を提案される。ミケルは『野のハクチョウ』に持つ違和感を紀久と与希子に話す。
ミケルは急遽デイケアセンターの手伝いをする。慣れないことに戸惑いながらも何とかやり遂げ、一日中フィンランド語で通したことで満足感を得る。
ミケルはレオに、博物館に島にある織機を引き取らせてもらえたら、イラクサを運ぶことが出来るかもしれないと提案するが、織機は構造上の問題があり、取り外すことが難しいと分かり、現地を確認する必要が出てきた。
イースターが近づく日曜日、ミケルはリッリやトッピたちとフィーカを楽しんでいた。そこに突然魔女が現れて、ミケルは驚く。
ミケルはトゥルク沖の小島にある織機の調査に向かうスタッフのユリアとリクに同行し、レオと同郷のタウノに案内してもらう。



イースターの魔女@「イラストAC」


🔖キーワード
「重さ」と「深さ」
東北の刺し子の図案と北欧に残る手工芸の図案との共通性
「上から目線」
ミケルについてのあれこれ
「記憶の病」(認知症)
「憤激」
『野のハクチョウ』アンデルセン(📘青空文庫
ミケルの「しゃべり」
「カラスはカラスの声で歌う」(諺)
「この次元以外の感覚」
倭姫命(やまとひめのみこと)の機殿
イースターの魔女とネコヤナギ
ミケルの「コミュニケーション能力」
木に対する感度、センスィティヴィティ



ムンッキ@「写真AC」

🍩フード&ドリンク
乾燥蓬
三杯みそ……秋田県の郷土菓子
プーロ(フィンランド)……オートミールのミルク粥みたいなもの
ムンッキ(フィンランド)……ドーナツのようなもの
フィーカ(スウェーデン語)、カハヴィタウコ(フィンランド語)……コーヒータイム
ルタバガ……大きなカブの種類
ラフカプッラ……イースターの菓子パン
マンミ……イースターの食べ物
ライスボール……おにぎり


🗺️拠点……ヘルシンキ、タンペレ、トゥルク




からくりからくさ/りかさん

「からくりからくさ」(1999年刊)をメインに「りかさん」「ミケルの庭」「この庭に 黒いミンクの話」などを構成する作品シリーズ
『猫ヤナギ芽ぶく』はこれらの続編にあたり、『からくりからくさ』を読んでいれば物語の背景を理解しやすい。


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