八ヶ岳の自然に囲まれた山小屋の素朴な明け暮れ
2018年から続く長期連載エッセイ炉辺の風おと
ろへんのかぜおと電子書籍:毎日新聞出版(2023年11月20日配信)
文庫本:毎日新聞出版(2023年10月30日発行)
単行本:毎日新聞出版(2020年9月25日発行)
初出:毎日新聞「日曜くらぶ」2018年4月1日~2020年6月21日(113回)
八ケ岳の山小屋での簡素で豊かな生活
自然との共生で感じたこと
焚き火のできる暖炉のある小屋作り
コロナ禍の世界で考えたこと
山の深みに届いた生活の経験―山の抱え持つ深さと測り合うように時間が流れる生活。孤独が人間存在を彫り上げていくような生活、ということだろうか。そういう時間が、自分の人生に、たとえ傍流としてでも流れてくれればいいと思う。
第一章 山小屋暮らし
山の深みに届く生活(4)
八ケ岳の山小屋を入手した経緯と山で生活すること
火のある風景(4)
英国の亡きウェスト夫人の思い出とアイルランドの漁師小屋のこと
🔗『私たちの星で』所収「あれから六万年続いたさすらいが終わり、そして新しい旅へ」『春になったら苺を摘みに』『ぐるりのこと』と関連
遅い春・早い初夏(4)
春の八ケ岳に咲く花や訪れる鳥たち、ドイツの旅のこと
風の来る道(9)
新しい小屋作りの試みと忘れ難い家のこと
🔗『やがて満ちてくる光の』所収「家の渡り」と関連
ストーブの話(4)
猛暑に焚いたストーブと煙突掃除の話
📖『アイルランド冬物語』(アリス・テイラー)
長く使われるもの(5)
プラスチックなどの生活の道具、言葉、住まいのこと
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』所収「是川」と関連
第二章 巡りゆくいのち
深まっていくもの(4)
薪ストーブの火熾しとキノコのこと
更新される庭(5)
山の庭と植物のこと
🔗『わたしたちのたねまき』と関連
💬P93 それからブルーベリーの青紫がしんとした林床を埋め尽くし、という一文ですが、“ブルーベリー”ではなく、“ブルーベル”が正しいと思われます。
冬ごもりの気持ち(5)
冬ごもりの準備の気持ちと「徒然(とぜん)」、病のこと
養生のこと(5)
建築、ガーデニング、心身などの「養生」と暖炉の完成
南の風(8)
沖縄(佐喜眞美術館、辺野古、読谷村など)を訪れたこと。石敢當(いしがんとう)と「あくまき」
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』所収「沖縄の地名」と関連
🔗『私たちの星で』所収「繋がりゆくもの、繋いでゆくもの」と関連
第三章 鳥の食事箱
野生と付き合う(5)
山庭に来る野鳥に餌を与えてみたこと
リスのこと(4)
山庭に来るリス、ビアトリクス・ポターのこと
植物と仲良くなり、ときどき食べる(6)
新しくできた離れ(アネックス)と食べられる植物のこと
📖『黒ケ丘の上で』(ブルース・チャトウィン)
📖『大英帝国は大食らい』(リジー・コリンガム)
時間が止まり(3)
フリーズしたリス、黒いアゲハ、クリスマスローズのこと
#神沢利子
🔗『夏の朝』と関連
第四章 いのちの火を絶やさないように
滲み出る本質(5)
茸の見分け、ゴジュウカラ、松脂、ウバユリ、美容院のこと
🔗『家守綺譚』と関連
🔗『不思議な羅針盤』所収「五感の閉じ方・開き方」と関連
滞りが生まれてしまう(4)
思考や身体、水の流れの滞りを考えること
#川平和美
🔗『不思議な羅針盤』所収「変えていく、変わっていく」と関連
少しずつ、育てる(5)
害虫という概念、一人できげんよくしている才能、難民の医療問題
🔗『ヤービの深い秋』と関連
第五章 遠い山脈
秘そやかに進んでいくこと(5)
父親の介護と死、ナイティンゲールへの関心
日常が甦る(4)
病院の待合室での出来事、けせんの木の香り、フェリーの船室、愛用のティーポット
#土井善晴
遠い山脈(5)
非常時と民主主義という山脈(やまなみ)
📖『他山の石』(桐生悠々)
📖『ほどくよどっこい ほころべよいしょ 暗闇へ梢をのばすくにつくり 百姓は想う 天と地の間にて』(伊藤晃)
生命は今もどこかで(5)
コロナ禍と育む生命(いのち)
📖『セカンドハンドの時代』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)
右往左往のただなかに在ること(5)
コロナ禍での右往左往
📖『日本アルプスのライチョウ』(水越武)新潮社
📖『パイオニア・ウーマン』(ジョアナ・ストラットン)
あとがき
✅文庫本には文庫版あとがきとして――『炉辺の風おと』その後を収録
電子版オリジナル
✅電子書籍には新聞連載時の小沢さかえさんによる全挿絵をオールカラーで収録
インタビュー
✅「著者の窓」第1回 小学館Web:2020年12月4日配信 小説丸(横書き版)
✅「本の窓」2020年12月号 小学館
Web:2020年11月20日配信 小説丸(縦書き版)

歌わないキビタキ 山庭の自然誌
うたわないきびたき やまにわのしぜんし単行本:毎日新聞出版(2023年9月30日発行)
初出:<炉辺の風おと>毎日新聞「日曜くらぶ」2020年6月28日~2020年9月27日(14回)
<新・炉辺の風おと>毎日新聞出版「サンデー毎日」2021年4月11日号~2023年3月26日号(88回)
山庭に咲く花、食事箱に来る鳥たち、病との闘い
外界に忙しなく暗雲が垂れ込め続けているような時代には、「飛ぶことを知っている魂」でも、飛ぶことを躊躇う。飛び方がわからなくなる。飛ばなくてすむのなら、誰も苦労はしないが、生きるために飛ぶことが必要なのなら、飛び立つより他に道はない。ただ、今を、翼を整備するための―入念な―準備期間と見なすことはできる。焦燥や不安も、経験値にしてしまい込む技を身につけながら。
🔖八ヶ岳 🔖霧島 🔖山小屋 🔖山庭 🔖鳥 🔖動物 🔖植物 🔖キノコ 🔖闘病 🔖母親の介護 🔖実家の引っ越し 🔖コロナ禍 🔖オリンピック 🔖ウクライナ
<炉辺の風おと> 前回からの続き
毎日新聞「日曜くらぶ」2020年6月28日~2020年9月27日(14回)第1章 2020年6月―9月
個性は消えない(5)
シジュウカラの雛の巣立ち。個性(らしさ)と認知症を患った友人のこと
📖『女帝・小池百合子』(石井妙子)
📖『セカンドブレイン』(マイケル・D・ガーション)
📖『第三の脳』(傳田光洋)
バランスを視ること(5)
生態系のバランスの崩れと世の中の変化。回天のこと
📖『特攻と日本軍兵士』(岩井忠正、岩井忠熊)毎日新聞出版
📖『特攻 最後の証言』(岩井忠正、岩井忠熊)河出書房新社
✅「飛ぶことを知っている魂」高校教科書に収録 令和5年度「文学国語」「新編 文学国語」(大修館書店)うつくしい保険(4)
遺伝子操作した蚊を放つ計画への懸念。予定のわからないスケジュール。自然にとっての「付け焼き刃」は人間の介入。伝えたい言葉。
🔗『f植物園の巣穴』と関連
#熊井明子
#片山廣子
#深尾須磨子
力のある言葉を、ひとへの励ましとしてよく使う。経験上、口頭で伝えるときは、すぐに出処も明らかにしたほうが、力強く伝わる。
(中略)「勇気を持って治療に向かってください」とあった。勇気を持って、と、私は何度も呟き、以後、この言葉とともに生きてきた。そして人生の様々な局面で、その言葉を必要としているひとに話してきた。
<新・炉辺の風おと>
毎日新聞出版「サンデー毎日」2021年4月11日号~2023年3月26日号(88回)第2章 2021年4月―8月
鉄人の日々(7)
化学療法と副作用、骨折と牛乳のこと
📖『アナグマ国へ』(パトリック・バーカム)
📖『乳がんと牛乳』(ジェイン・プラント)
✅エコノミストOnlineは1~3回を試し読みできます。危機的な局面に出会うたび、いちいち悲嘆に暮れる余裕はない。状況から必要な情報だけを読み取り、判断し、次へ繋げていく行動をとる。患者を生きるということは、当事者を生きるということで、やってくる波を乗り切ることは、誰にも代わってもらえない。
群れにいると見えないこと(5)
八ヶ岳にやって来るアトリ、回天に搭乗した和田稔のこと
📖『わだつみのこえ消えることなく』(和田稔)
📖『芹沢光治良文学館 短篇集 死者との対話』
✅群れにいるとみえないこと/3~5―『ここに物語が』に収録半返し縫いの日々(6)
山庭に咲く野草と薪ストーブ、自分というもの、コガラ
#カール・ベンクス
#池田潔
📖『第三の随筆』(池田潔)
アマチュアの心(3)
剣道がオリンピック種目でない理由、文庫化される地名の本、蝶好きの人
#森本あんり
📖『反知性主義』(森本あんり)
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』と関連
第3章 2021年9月―12月
長い間、気づかずにいたこと(3)
戦時中の京都の空襲、波乱万丈の人生を歩んだ日本人たち、家の前を掃くこと
📖『南島に輝く女王 三輪ヒデ』(倉沢愛子)
📖『大航海時代の日本人奴隷』(ルシオ・デ・ソウザ/岡美穂子)
自然界では一つとして同じ存在はないということ(6)
初秋の公園の草花と鵜飼、山庭に生えたキノコ、誰かに採られたキノコ、キノコ用ナイフと下拵え、キジバトの巣作り、英国の友人の夢
📖『南日本の地名』(小川亥三郎)
森の道 人の道(7)
シカ、アオダイショウ、アズマヒキガエル、ウグイス、ゴイサギなどの道。英国の生垣
第4章 2022年1月―4月
晩秋と初冬の間(3)
コガラ、キバナノヤマオダマキ、コンポスト
敗者の明日(4)
ヒガラと牛脂、サクラマスとヤマメ、リスのクルミ割り
📖『リスの生態学』(田村典子)
準備はできつつある(4)
屋根の修繕、カエデの樹液、読者の手紙から、ウクライナ情勢
雪が融け 水が温み(5)
ウクライナの民話絵本、本は大事、はっきり見えるもの、強制移住、桜と低温刺激
📖『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ絵・うちだりさこ訳 福音館書店)
📖『コーカサスの金色の雲』(プリスターフキン)
📖『昼の家、夜の家』(オルガ・トカルチュク)
📖『パンと野いちご』(山崎佳代子)
#猪谷六合雄
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』所収「大洞」と関連
第5章 2022年5月―9月
失ったものと得たもの(6)
魚の移動販売、山ウド、新東名と琵琶湖行き、ウクライナの人びと、霧島の山小屋とアカショウビン、「夏は来ぬ」とウツギとホトトギス
滴るように伝わる(5)
亡き編集者と新しい命、奥永源寺の政所茶、七十年ものの柴と新しい男性性、ヒメネズミ、安倍元総理銃撃事件
🔗『冬虫夏草』と関連
目的は、「変化」そのもの、なのか(旧題:あと少し、もう少し)(6)
鳥と人間の子育て、枇杷の実とアナグマ、母親の介護とトキワネム、アナグマと弱者、手放すことになった実家の庭のクスノキなどの樹木
第6章 2022年10月―2023年3月
歌わないキビタキ(6)
食事箱にやって来たミソサザイとアカゲラ、指のトゲと母親との喧嘩、雨上がりの山のキノコ、どんぐりと解体、エゾハリタケと寄生されたサカキ、オオバヤドリギの寄生
📖『奥入瀬渓流 きのこハンドブック 春―初夏篇』
📖『アナグマ国へ』(パトリック・バーカム)
#ジョナサン・マッゴーワン
秋はかなしき(5)
雄シカの啼き声と山姥、炎を見ることと神聖なもの、シロイワヤギの闘い方、ウェスト夫人とホットウォーター・ボトル
あるべきようは(7)
ヒメネズミの捕獲、エリマキシギのメス擬態型オス、相手の存在
📖『ゾウの時間 ネズミの時間』
📖『オスとは何で、メスとは何か? 「性スペクトラム」という最前線』(諸橋憲一郎)
📖『ウマと話すための7つのひみつ』(河田桟)
#ジェラルド・ダレル
あとがき
💬「歌わないキビタキ」の収録範囲は前回からの続き3ヶ月+2年分でした。一部改稿されています。<新・炉辺の風おと>は現在も連載が続いており、このまま順調に推移されたら(少し気が早いですが)数年後にはVol.3の書籍化も期待できそうです。
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