歌わないキビタキ 山庭の自然誌(新・炉辺の風おと@連載中)

2024年4月23日

エッセイ

うたわないきびたき やまにわのしぜんし



単行本:毎日新聞出版(2023年9月30日発行)
初出:<炉辺の風おと>毎日新聞「日曜くらぶ」2020年6月28日~2020年9月27日(14回)
<新・炉辺の風おと>毎日新聞出版「サンデー毎日」2021年4月11日号~2023年3月26日号(88回)

山庭に咲く花、食事箱に来る鳥たち、病との闘い
「炉辺の風おと」シリーズ Vol.2


🔗関連作品 「炉辺の風おと」


外界に忙しなく暗雲が垂れ込め続けているような時代には、「飛ぶことを知っている魂」でも、飛ぶことを躊躇う。飛び方がわからなくなる。飛ばなくてすむのなら、誰も苦労はしないが、生きるために飛ぶことが必要なのなら、飛び立つより他に道はない。ただ、今を、翼を整備するための―入念な―準備期間と見なすことはできる。焦燥や不安も、経験値にしてしまい込む技を身につけながら。

🔖八ヶ岳 🔖霧島 🔖山小屋 🔖山庭 🔖鳥 🔖動物 🔖植物 🔖キノコ 🔖闘病 🔖母親の介護 🔖実家の引っ越し 🔖コロナ禍 🔖オリンピック 🔖ウクライナ


<炉辺の風おと> 前回からの続き

毎日新聞「日曜くらぶ」2020年6月28日~2020年9月27日(14回)

第1章 2020年6月―9月
個性は消えない(5)
シジュウカラの雛の巣立ち。個性(らしさ)と認知症を患った友人のこと
📖『女帝・小池百合子』(石井妙子)
📖『セカンドブレイン』(マイケル・D・ガーション)
📖『第三の脳』(傳田光洋)

バランスを視ること(5)
生態系のバランスの崩れと世の中の変化。回天のこと
📖『特攻と日本軍兵士』(岩井忠正、岩井忠熊)毎日新聞出版
📖『特攻 最後の証言』(岩井忠正、岩井忠熊)河出書房新社
✅「飛ぶことを知っている魂」高校教科書に収録 令和5年度「文学国語」「新編 文学国語」(大修館書店)

うつくしい保険(4)
遺伝子操作した蚊を放つ計画への懸念。予定のわからないスケジュール。自然にとっての「付け焼き刃」は人間の介入。伝えたい言葉。
🔗『f植物園の巣穴』と関連
#熊井明子
#片山廣子
#深尾須磨子

力のある言葉を、ひとへの励ましとしてよく使う。経験上、口頭で伝えるときは、すぐに出処も明らかにしたほうが、力強く伝わる。
(中略)「勇気を持って治療に向かってください」とあった。勇気を持って、と、私は何度も呟き、以後、この言葉とともに生きてきた。そして人生の様々な局面で、その言葉を必要としているひとに話してきた。


<新・炉辺の風おと>

毎日新聞出版「サンデー毎日」2021年4月11日号~2023年3月26日号(88回)

第2章 2021年4月―8月
鉄人の日々(7)
化学療法と副作用、骨折と牛乳のこと
📖『アナグマ国へ』(パトリック・バーカム)
📖『乳がんと牛乳』(ジェイン・プラント)
エコノミストOnlineは1~3回を試し読みできます。

危機的な局面に出会うたび、いちいち悲嘆に暮れる余裕はない。状況から必要な情報だけを読み取り、判断し、次へ繋げていく行動をとる。患者を生きるということは、当事者を生きるということで、やってくる波を乗り切ることは、誰にも代わってもらえない。


群れにいると見えないこと(5)
八ヶ岳にやって来るアトリ、回天に搭乗した和田稔のこと
📖『わだつみのこえ消えることなく』(和田稔)
📖『芹沢光治良文学館 短篇集 死者との対話』
✅群れにいるとみえないこと/3~5―『ここに物語が』に収録

半返し縫いの日々(6)
山庭に咲く野草と薪ストーブ、自分というもの、コガラ
#カール・ベンクス
#池田潔
📖『第三の随筆』(池田潔)

アマチュアの心(3)
剣道がオリンピック種目でない理由、文庫化される地名の本、蝶好きの人
#森本あんり
📖『反知性主義』(森本あんり)
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』と関連

第3章 2021年9月―12月
長い間、気づかずにいたこと(3)
戦時中の京都の空襲、波乱万丈の人生を歩んだ日本人たち、家の前を掃くこと
📖『南島に輝く女王 三輪ヒデ』(倉沢愛子)
📖『大航海時代の日本人奴隷』(ルシオ・デ・ソウザ/岡美穂子)

自然界では一つとして同じ存在はないということ(6)
初秋の公園の草花と鵜飼、山庭に生えたキノコ、誰かに採られたキノコ、キノコ用ナイフと下拵え、キジバトの巣作り、英国の友人の夢
📖『南日本の地名』(小川亥三郎)

森の道 人の道(7)
シカ、アオダイショウ、アズマヒキガエル、ウグイス、ゴイサギなどの道。英国の生垣

第4章 2022年1月―4月
晩秋と初冬の間(3)
コガラ、キバナノヤマオダマキ、コンポスト

敗者の明日(4)
ヒガラと牛脂、サクラマスとヤマメ、リスのクルミ割り
📖『リスの生態学』(田村典子)

準備はできつつある(4)
屋根の修繕、カエデの樹液、読者の手紙から、ウクライナ情勢

雪が融け 水が温み(5)
ウクライナの民話絵本、本は大事、はっきり見えるもの、強制移住、桜と低温刺激
📖『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ絵・うちだりさこ訳 福音館書店)
📖『コーカサスの金色の雲』(プリスターフキン)
📖『昼の家、夜の家』(オルガ・トカルチュク)
📖『パンと野いちご』(山崎佳代子)
#猪谷六合雄
🔗『風と双眼鏡、膝掛け毛布』所収「大洞」と関連

第5章 2022年5月―9月
失ったものと得たもの(6)
魚の移動販売、山ウド、新東名と琵琶湖行き、ウクライナの人びと、霧島の山小屋とアカショウビン、「夏は来ぬ」とウツギとホトトギス

滴るように伝わる(5)
亡き編集者と新しい命、奥永源寺の政所茶、七十年ものの柴と新しい男性性、ヒメネズミ、安倍元総理銃撃事件
🔗『冬虫夏草』と関連

目的は、「変化」そのもの、なのか(旧題:あと少し、もう少し)(6)
鳥と人間の子育て、枇杷の実とアナグマ、母親の介護とトキワネム、アナグマと弱者、手放すことになった実家の庭のクスノキなどの樹木

第6章 2022年10月―2023年3月
歌わないキビタキ(6)
食事箱にやって来たミソサザイとアカゲラ、指のトゲと母親との喧嘩、雨上がりの山のキノコ、どんぐりと解体、エゾハリタケと寄生されたサカキ、オオバヤドリギの寄生
📖『奥入瀬渓流 きのこハンドブック 春―初夏篇』
📖『アナグマ国へ』(パトリック・バーカム)
#ジョナサン・マッゴーワン

秋はかなしき(5)
雄シカの啼き声と山姥、炎を見ることと神聖なもの、シロイワヤギの闘い方、ウェスト夫人とホットウォーター・ボトル

あるべきようは(7)
ヒメネズミの捕獲、エリマキシギのメス擬態型オス、相手の存在
📖『ゾウの時間 ネズミの時間』
📖『オスとは何で、メスとは何か? 「性スペクトラム」という最前線』(諸橋憲一郎)
📖『ウマと話すための7つのひみつ』(河田桟)
#ジェラルド・ダレル

あとがき


💬単行本の収録範囲は前回からの続き3ヶ月+2年分でした。一部改稿されています。<新・炉辺の風おと>は現在も連載が続いており、このまま順調に推移されたら(少し気が早いですが)数年後にはVol.3の書籍化も期待できそうです。


書籍未収録 ―連載中―

時間をかけて、取り戻す(7)
ゴジュウカラのバードストライク、醤油職人と桶職人、アトリと群れの集結地、ウラジロモミの鹿害と金網の設置、ムジナモの発見と牧野記念庭園のクマガイソウ、カヤックを始めた動機と種
📖『巨大おけを絶やすな!』(竹内早希子 岩波ジュニア新書)
#牧野富太郎
🔗『僕は、そして僕たちはどう生きるか』『水辺にて』と関連

何を見ているのか(6)
アミガサタケと渡りをしなくなったジョウビタキ、キビタキ雌の硝子戸への体当たり、アカショウビンと生態系全体から見る野鳥観察、ソウシチョウと入管難民法改正案、サラサドウダンと「目」の細やかさ
📖『生命にぎわう青い星―生物の多様性と私たちのくらし』(樋口広芳)推定

人には見えない場所で(6)
コエゾゼミとセミの分布、ノリウツギだと思い込んでいた名前のわからない木、食事箱にやってくるカワラヒワとキジバト、アカゲラの残忍さ、カワラヒワのマフィアファミリー、カワラヒワの幼鳥
🔗『家守綺譚』と関連

繰り返すのか(4)
ALPS処理汚染水の海洋放出と戦前の空気、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件、新聞への失望と無力感
📖『関東大震災 文豪たちの証言』(石井正己編 中公文庫)
#小泉登美
#志賀直哉
#佐多稲子
#片山廣子

藪のなか(6)
ヤブミョウガ、ヤブガラシ、ヤブコウジと国の質、八ヶ岳の紅葉と遺影写真、ドングリの凶作と前の家主Kさん家族の来訪、家霊を感じるとき、「高原の恋」の真相、N子さんの両親への感謝
#中井久夫
🔗『炉辺の風おと』と関連

冬の群れ(6)
キバシリ、鳥が群れに入るための条件とメリット、カラスが群れになる科学的な事実、カラ類の群れに混じったヒヨドリ、箱根駅伝と水餃子の肌年齢、公園の池にやって来る野鳥への餌やり禁止
#樋口広芳
📖『アナグマ国へ』(パトリック・バーカム)
🔗『不思議な羅針盤』と関連?

わかりたい気持ち(7)
サルと飼い犬のわかりたいこと、飼い犬が鏡の中の自分を見たときの反応、病院で見かけたイソヒヨドリ、某編集者の性別、ヒメオドリコソウとワカケホンセイインコ、メッセンジャーナースと病院との交渉、北原節子の随筆「雨の白馬岳」
#田畑千穂子
🔗『不思議な羅針盤』と関連
🔗『秘そやかに進んでいくこと』と私たちの責任と関連

忖度と思いやり(4)
「思いやり」という忖度を強要する暴力、日本人パックツアー客と外国人観光客、天候不良の中の飛行機着陸と加藤幸子さんのエール
#加藤幸子


「サンデー毎日」毎日新聞出版
2021年4月11日号~連載(毎週火曜日、合併号あり)

🆙第134回・2024年5月5・12日合併号

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