児童文学

梨木香歩さんの児童書、絵本など


🔔以下の作品はリンクページを参照してください

「蛇の棲む水たまり」

「岸辺のヤービ」「ヤービの深い秋」

「りかさん」「この庭に 黒いミンクの話」

「西の魔女が死んだ」



よんひゃくまんさいのびわこさん

🎨絵本:理論社(2020年12月発行)



みんなでいこう うみへかえろう

琵琶湖の浜で風に吹かれながらハマヒルガオを眺めていると、宮沢賢治風に言えば、「ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようで」しかたがなく、様々なシーンが浮かんできます。若く、娘さんのような琵琶湖が、大地の記憶にある、ちゃぽんちゃぽんと遊んでいた頃の海に帰りたい一心で、ハマヒルガオたちを連れ、移動を続ける。そしていつか疲れて移動する気力がなくなった頃、自分自身が皆の帰りたいと願う「海」になっている……。


わたしたちのたねまき

🎨絵本:キャスリン・O・ガルブレイス作/ウェンディ・アンダスン・ハルパリン絵/梨木香歩訳 のら書店(2017年10月10日発行)



たねをめぐる いのちたちのおはなし

太陽、風、雨、水、動物、そして人間たち…すべてのいのちたちがともに地球という大きな庭にたねをまき、そだてている。
遠くへ! 遠くへ!(あとがき)

✅原題:Planting the Wild Garden


僕は、そして僕たちはどう生きるか

📱電子書籍:理論社(2018年7月9日配信)
文庫本:岩波書店(2015年2月17日発行)
単行本:理論社(2011年4月発行)
初出:ウェブマガジン「あ、ある。」理論社(2007年4月~2009年12月)



あの春の一日を忘れない。
考え続けて、生きていく。

郊外の町で一人暮らしをしているコペルは14歳、土壌生物に関心を持っている。染織家で叔父のノボちゃんがヨモギを探していることを知って、登校拒否をしている友達のユージンの家を久しぶりに訪ねた。そこにユージンのいとこのショウコもやってきて、一緒にお昼を作って食べたり、庭にはインジャがいるということを聞いて驚いたりするが…。

✅電子書籍にはユージンの家の庭に咲く野草などの説明を収録
💬参考文献:「君たちはどう生きるか」吉野源三郎著 岩波書店


丹生都比売(におつひめ)

📱電子書籍(作品集版):新潮社(2022年5月27日配信)
単行本:『丹生都比売 梨木香歩作品集』 新潮社(2014年9月30日発行)
単行本:出版工房原生林(1995年11月20日発行)



壬申の乱にまつわる古代の歴史ファンタジー

大海人皇子と鸕野讚良皇女の皇子である草壁皇子は、偉丈夫の異母兄弟に比べ、ひ弱な自分にいつも引け目を感じていた。少年の頃に過ごした吉野で、言葉の不自由な少女キサと出会う。

✅新潮社版は原生林版の鸕野讚良皇女の章を削除して、初期の構成に戻した


夏の朝

📱電子書籍(作品集版):新潮社(2022年5月27日配信)
単行本:『きのうまでにさよなら』日本児童文学者協会 偕成社(2018年12月6日発行)
単行本:『丹生都比売 梨木香歩作品集』 新潮社(2014年9月30日発行)
初出:「飛ぶ教室」50号/1994春 光村図書出版(1994年5月発行)



わたし、春ちゃんのモビルスーツになるよ

夏ちゃんは六つの誕生日に「きゅうこん」が欲しいとお願いした。それは親指姫が生まれる特別の球根のことだった。やがて百合から生まれた親指姫の春ちゃんと楽しい日々を過ごす。おもちゃの椅子やテーブルを作り、従兄弟の友彦くんには家を作ってもらった。しかし、一人遊びばかりしているようにしか見えないおかあさんは心配になってしまい、それらを全部処分してしまう。そこで春ちゃんは夏ちゃんの中に入り、夏ちゃんは春ちゃんのモビルスーツになって春ちゃんを守ることを決意する。


エンジェル エンジェル エンジェル

📱電子書籍(新潮文庫版):新潮社(2022年5月27日配信)
文庫本:新潮社(2004年3月1日発行)
単行本:出版工房原生林(1996年4月20日発行)



私が、悪かったねぇ。おまえたちを、こんなふうに創ってしまって

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。

✅新潮社版と原生林版では結末が異なる


ワニ ジャングルの憂鬱 草原の無関心

🎨絵本:理論社(2004年1月発行)



悲劇的なワニの幸福について

ジャングルでは毎日たくさんの命が生まれ、生きるために食べ、食べられ、それら全てが夢である如くやがては皆死んでいく。そのワニは傲慢でジャングル一の嫌われ者。仲間を食べ兄弟さえ食べ生きてきた。そしてある日悲劇的とも言える最期を迎える。
絵/出久根育


マジョモリ

🎨絵本:理論社(2003年5月発行)



森の奥から招待状がとどいた。

春のマジョモリは花が満開。ある朝つばきは森から届いた招待状を手に初めて森の奥へ。そこで会ったハナさんとノギクやサクラのおいしいお茶のティーパーティー。後からもう一人来た女の子はどこかで会ったことがあるけれど思い出せない。
絵/早川司寿乃


蟹塚縁起

🎨絵本:理論社(2003年2月発行)
初出:「日本児童文学」2001年11-12月号 日本児童文学者協会編 小峰書店(2001年12月1日発行)



あなたがその恨みを手放さぬ限り…

助けた蟹が恩返しにやってきた事で前世の因縁を思い出すとうきち。やがてその思いを昇華する。
絵/木内達朗


ペンキや

🎨絵本:理論社(2002年12月発行)



ペンキやに生まれ、ペンキやとして生き、一生を終えた、ある職人の物語

お客のもっとも望む色を探し出し、人々をしあわせにするのがペンキやの仕事…。父の跡をついでペンキやとなった男の一生。
絵/出久根育


裏庭

📱電子書籍(新潮文庫版):新潮社(2022年5月27日配信)
文庫本:新潮社(2001年1月1日発行)
単行本:理論社(1996年11月発行)



フー・アー・ユー? 誰だい、君は?
テル・ミー 教えて、私に。
アイル・テル・ユウ 教えよう、君に。

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だった。その庭に辛い思い出のある照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入り込んでしまう。





その他

ムシに遭ってムシしなかった話

単行本:ファンタジーの宝石箱 vol.2「夜の翼」産業経済新聞社編 全日出版(2004年9月発行)

あやこの学校には、ムシと呼ばれる不思議なものがいた。


梅雨入りの朝

単行本:県別ふるさと童話館25「滋賀の童話」リブリオ出版(1999年10月発行)

梅雨入りの朝の教室の様子を描いた詩


哲学と子ども 子どもとの対話から

単行本:G.B.マシューズ著/倉光修・梨木香歩訳 新曜社(1997年11月発行)

児童研究


月のふたご

「飛ぶ教室」FINAL創作特集1995 光村図書出版(1995年4月発行)

ふたごってこういうものよ

加奈と道子は、ふたごのように育てられた。しかし道子は自分の努力ではどうしようもないところで、決定的に人と違うことがわかっていた。


吹雪の夜ウィリアム・フォースが屋敷奉公を決意するに至った話

「飛ぶ教室」52号/1994秋 光村図書出版(1994年12月発行)

ビルは後のディー家の歴史に残る名執事、ウィリアム・フォースに

吹雪の夜に旅の修道士を泊めることになった。ビルは最近よくみる黒豹の夢が気になっていたので、修道士がある密命により黒豹を探していると聞いて驚いてしまった。誘惑に掻き立てられたが、お屋敷の婆様の忠告を守り話さなかった。


プライドチキンの長い助走

「飛ぶ教室」51号/1994夏 光村図書出版(1994年10月発行)

やればできる、できればやる

僕はプライドなんか持たないで生きていく。周りからはいつもやればできると言われてきたけれどやらなかった。それをプライドが高いからだと、麗奈から言い返されてしまった。


信じるものは

「飛ぶ教室」48号/1993秋 楡出版(1993年11月発行)

私はショウコが大嫌い

麗奈は自分がクラスの中心だと思っている女の子、友達も先生もそれを意識しているが、一人だけ全くへつらわないのがショウコだ。何でも思い通りにならないと気が済まない麗奈も、夢だけはどうにもならないと自覚している。何かを探している夢を見た日、事件が起きた。先生から答案を返してもらい席に戻りかけたとき、ショウコの落とした何かが気になり足をすくわれて転んでしまった。気になって放課後、二人きりのときにそれを見せてもらう。それは、幼い二人の女の子がベットの脇でひざまずいて寝る前のお祈りをしている姿のブックマークだった。ショウコからは、夢の中で探しているものは神様じゃないかと指摘される。


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